大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和32(オ)827 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人鍛治利一、同渡辺靖一名義の上告理由第一点、第二点および第四点に

ついて。

原判決は、本件通行地役権の成否の争点について、(1)本件各土地を含む分筆

前の宅地二八〇坪の所有権移転の経緯、(2)右宅地が宅地として利用されるに至

つた当初から本件甲乙丙丁戌の私道は存していたこと、(3)右宅地につき前所有

者国によつて分筆の上払下が行われたこと、(4)右払下に際して国(大蔵省)の

意向ならびにその代行機関たるE株式会社係員による交渉の事情、(5)従前から

の被上告人および上告人その他前記宅地利用者の土地の所有、使用の経過、(6)

各分筆土地と私道との当初からの地形的関係と利用状況、(7)前記私道の一部は

建築基準法四二条の道路と認められ、同法に基く建築制限の適用があること、(8)

昭和二四年三月になされた前記払下の後も、同二八年一一月までは右私道部分の利

用状況に変化はなく、各利用者間で賃料等の対価の支払はなされなかつたこと、等

の事情を詳細に認定判示し、一方上告人が前記払下を受けるに当り、私道敷地(甲)

をも含めその所有となる土地全部を自己のためにのみ使用することを国、被上告人

その他の関係者に表明したと認めるべき適確な証拠はないと判示しているのであつ

て、原審挙示の証拠による原審の右事実認定は、是認し得られる。而して原審は更

に、これらの諸事情を綜合して、私道敷地をも含め前記宅地二八〇坪を判示五筆に

分筆払下をなすにあたり、各関係者は右私道敷の部分を従前どおり存置させ他の者

の利用を忍容するとの了解のもとに払下が実施されたものと認め、結局本件五筆の

土地の各所有者相互間で、右分割払下の頃、本件私道敷内における各自所有地域に

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つき相互に他の所有者のため通行地役権を設定する旨の暗黙の意示表示がされたも

のと認めたのであつて、この事実認定も亦是認し得られる。

論旨は、前記事実認定を争い、その認定に反する事実を主張して原判決を攻撃す

るに帰するものであつて、原判決に所論の違法はない。

論旨は採用し得ない。

同第三点について。

原判決は、分筆にかかる本件各土地の所有者間で、相互に判示甲、乙、丙、丁、

戌の各私道敷地上に通行地役権を設定するとの暗黙の意思表示をしたものと認めた

のであるから、所有権の侵害を理由とする憲法二九条違反の主張はその前提を欠く

ことに帰する。また、国有地を分筆払下するにつき大蔵省が、使用状況を変更する

ことなく、各譲受人が従前の如く使用し得る処置をとるべき意向を示したことをも

通行地役権の設定を認める一資料としたものであるから、この点の所論原判示も亦

是認し得られる。その他の論旨は、原判示に添つて居ない事実を前提とするもので

あつて上告適法の理由とならない。

論旨は、すべて採用し得ない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと

おり判決する。

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 石 坂 修 一

裁判官 島 保

裁判官 河 村 又 介

裁判官 垂 水 克 己

裁判官 高 橋 潔

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